消えた猫

布団の中に入って来たのは、

土のにおいがした生臭い存在だった。

しかし、諒のこころを慰めるのは、
その存在以外にはなかった。

哀願するように鳴くその存在。

人は自らの子供時代を選ぶことが出来ない。

在る親の元に生まれ、
その家で育てられる。


しかし、育てる存在がいなくなったとき、
歯がゆい、砂を噛むような日々がやって来た。

愛情がもらえない世界。
無償の愛が幼い子供にとっては大切なのだ。

しかし、その存在が病気で倒れ、
居なくなってしまった。

諒の慰めは、
雨の降る夜に、
足に泥をつけ、生臭い息をした存在。

諒の布団に滑り込んでくる猫しかいなくなってしまった。

皮膚がんで亡くなったあの猫。
ある日、家から姿が消えた。
どこへ行ったのだろう・・

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